酒とつまみの関係はいつから始まったのだろう?と、ふと思いましたが、なかなか調べがつきません。
考察ですが、以前の記事にも登場した山上憶良の一節に「塩をなめつつ、お湯で溶いた酒粕をすすって暖を取る」とあります。塩を酒風の飲み物のアテにしていた、という貧しさを書き残しているのです。
これが奈良時代のことであり、それ以前は神や天皇に捧げるための飲み物であったため、アテと共に楽しむお酒ではなかったんですよね。
酒と肴の素敵な関係。
けれども、酒の肴文化が脈々と受け継がれている気がするのは、日本人の血の記憶でしょうか。
「さけのさかな」の由来は?
酒のさかな、本来は「酒菜」と書きました。時には「酒媒」という字を当てたこともあるようです。酒のための菜、または酒のなかだちをするものを指しました。
ですから、必ずしも食物とは限らないわけで、「肴舞(さかなまい)などと言葉もあるように、舞や唄も肴でした。つまり酒を一層うまくするもの、主席に興を添えるもの「酒菜」というわけです。
参考:日本酒造組合中央会
この説明で「あっそうか!」と思いました。季節ごとの風習や行事に、日本酒が添えられることが多いですよね。例えば、お正月のお屠蘇、お雛様の時には桃酒、日本人が大好きな桜の下でのお花見‥。
その場で感じる全てのものが酒の肴になっていたんですね。心豊かで、粋ですね〜。
本物の肴も味わいたい。
歴史を遡ると、神様のお裾分けをいただく直会では、すでにお酒に合う品々がお供えとして用意されていたのです。式三献という、御神酒を盃一杯と肴一品を一献として三回繰り返すという儀式です。神様に捧げる神聖な時間だったのですね。
時代背景然り、出陣の際には、熨斗鮑・勝ち栗・昆布を並べて、「敵をのして、勝って、喜ぶ」になぞらえていたそうです。ある意味、縁起担ぎの由緒正しい歴史なのかも知れませんね。
日本料理と日本酒も縁があるんだ‥。
更に、この式三献は宴会の原点とも云われ、その広がりは今の時代にも垣間見ることができます。三三九度として名残りがあり、日本料理の原型ともなる本膳料理や懐石料理、懐石料理にも縁があります。
詳しく分類すればそれぞれ個性は違いますし、出どころが全く別ですが、要はお上品な宴会なのだと解釈いたします。お酒とそれに季節や土地の肴を楽しみましょうや。という粋なシチュエーションなのですね。楽しいお・も・て・な・し・です。
酒呑みに共通するか分かりませんが、旨い日本酒と肴を仲間と共有したい。という想いは年々増している気がします。たとえ分かち合えなくても新たな発見がありますから、それはそれで楽しめます!
現代の肴あれこれ。
現代に戻りまして、よくある日本酒のアテを挙げてみると‥!
塩辛・チーズ・冷奴・刺身・焼き魚・焼き鳥・枝豆・あさり酒蒸し・ふぐの唐揚げ・マグロ山かけ・白子ポン酢・手羽唐などなど挙げたらキリがありません。まるで居酒屋メニューを書いてるようでした。「オヤジ、やってる〜?」ふらりと暖簾をくぐりたくなります。
自分の好みで思い浮かべる楽しさ。
では、もし自分が買うのなら‥。
豆腐味噌漬け・ホタルイカの沖漬け・エイヒレ・あん肝・貝煮・糠漬けなどなど。
そして、料理をするとしたら‥。
オイルサーディンとニンニク揚げ・ホタテ醤油バター・蒸牡蠣・自然薯磯辺揚げ・山菜天ぷら・菜の花辛子和え・蕗味噌・焼き蛤・焼きチーズ海苔などなど。
想像力があると、すぐにお口のよだれが反応してしまいます。
日本酒と肴と健康について。
日本酒との食べ合わせ、飲み合わせはとても大事だと思います。巷でいうマリアージュでしょうか。
しかしながら、お酒を飲んだ時の若干のリスクを考えると、何と合わせたら良いのか迷ってしまいますよね。健康的に、気分上々の宴を楽しむなら、アテ選びのメリットを探ってみる方法があります。
飲んだ時のデメリットを考える。
まずは、お酒を飲んだ時のデメリットから申し上げますと、アルコールを分解する過程でビタミンB1が大量に失われてしまうと云われています。アルコールは胃で2割、小腸で8割が吸収されます。その後、血液を通して約9割の処理を肝臓が担ってくれます。
絶え間なくお酒が運ばれてくると、肝臓の処理能力が追いつかず血中濃度が急激に上昇し、その他の臓器にも影響を与えてしまいます。ふらっふらっの酩酊状態から悪酔いになっては、せっかくの宴を楽しむことができませんよね。
アルコール分解を助けてくれる栄養素。
そこで、アルコールの分解作用を促し、肝臓の処理能力をサポートするために摂取したい栄養素があります。
エネルギー産出に必要なのに、飲酒で消費されてしまうビタミンB1はもちろんのこと、アミノ酸によって構成されるタンパク質や、コラーゲンの生成に必須のビタミンC、糖質やタンパク質の代謝にも欠かせないナイアシンなどです。
ん?ってことは、それらを一緒に摂れるアテを選べば良いのでは?と単純に考えました。
ということで、日本酒と相性が良く、身体に優しいアテの数々をご紹介したいと思います!
日本酒と肴の心地良いバランス。
酒呑みが楽していただけるようセットメニューを考えてみました〜。心とお腹を満たすことができる酒食ですね。
一のお献立。
・塩鮭の麹漬け(辛めの塩鮭を甘酒で漬けます⇦あえて焦がしましたので焼き加減注意です笑)
・湯豆腐のわかめあんかけ(生わかめをだし醤油であんかけにします)
・アスパラとにんにくのホイル焼き(お塩とオリーブオイル少々でホイル焼き)
・翡翠豆(グリーンピースをお出しで味付け。そこに少々の唐辛子)
・玄米ご飯の紫蘇の葉漬けのせ(紫蘇の生葉をピリ辛だしつゆに漬けます)
・納豆汁(ネギやニラと共に)
鮭はもちろんのこと、アスパラやグリーンピース、にんにくはビタミンBが豊富な食材ですし、唐辛子はビタミンC、お豆腐や納豆でタンパク質が摂れます。
玄米自体も栄養バランスに優れた食材なうえ、鮭を麹漬けにすることで日本酒との相性も格段に上がります。
二のお献立。
・たらの芽と大葉の天ぷら(季節に応じて芽キャベツでも!)
・蛤の酒蒸し(お出汁までいただきましょう)
・ほうれん草とひじきの白和え(ほうれん草はお浸しにしてから加える)
・半熟卵の味噌漬け
・ざるそば(ネギと山葵と海苔が良い)
季節野菜のたらの芽や大葉はビタミンB、芽キャベツ・ほうれん草はビタミンCが豊富に含まれています。蛤はビタミンB12や鉄・亜鉛などのミネラルを摂取でき、白和えは大豆タンパク質を頂戴することが出来ます。もちろん、ほぼ完全栄養食といわれる卵も欠かせない存在です。(卵の写真は一のお献立。を参照)
蕎麦は低カロリー高タンパクの食材として、ビタミンB1やB2、タンパク質の合成に必要なマグネシウムも摂れるんですね。しかも、低GI値食品として血糖値を上げにくいと云われています。
三のお献立。
・手羽先のにんにく照り焼き(ちょっびっと唐辛子)
・茹でとうもろこしと茹でブロッコリー(添え物)
・枝豆ポタージュ(豆乳仕立て)
・カマンベールチーズパスタ(写真よりもチーズ多めでお願いします笑)
手羽先にはビタミンB群や血圧を下げる作用があるカリウムが含まれており、ビタミンBを含むにんにくと一緒に食欲が増すお味となっています。
とうもろこしやブロッコリー、枝豆からもビタミンBが摂取でき、豆乳やチーズからタンパク質を頂戴します。洋風でもいけますねぇ。
ちょっと耳寄り。
ちなみにビタミンBやCは水溶性なので、余分なものは体外に排出されますが、サプリメントなどで過剰に摂取してしまうビタミンA・D・Eは脂溶性のため、肝臓に溜まってしまうことがあるそうです。何事も程々にしていきたいものです。
今日、自分は何が食べたいかなぁと身体に聞いてみる時に、これかなって感じるものがあると思います。きっとそれが、その時身体が欲しているものかも知れませんよね。
まとめ。
しかし、あくまで素人の妄想メニューですので責任は持てませんが、充分に楽しめる内容ではないかなと思います。一度、プロにご教授願いたいものですが‥。
日本酒とアテを美味しくいただくだけでなく、身体に優しくしちゃってる自分を褒めてあげたい。そんな妙な気分を味わいながらじんわりと酔っ払いたいですね。
ゆったりとした時間の中、自分自身に穏やかに話しかけられる時間を持ちたいものです。
お互い様にバランス良く酒食を楽しんでいきましょう。
参考:公益社団法人長寿科学振興財団/アルコール健康医学協会/財団法人 日本食肉消費総合センター
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