日本酒を温めると世界が広がる理由。その2。

飲み方

お酒はぬるめの燗がいい〜♪と歌いながら、コンロの前で日本酒を湯煎しつつ、厳しい冬を楽しもうと、思わずにやりと笑う。ご機嫌な今日この頃です。

燗酒を飲むという行動ひとつで、浮かぶ情景、合わせるつまみ、注ぐ酒器など、色んなことが派生して関わってきますよね。まさにエンターテイメント!

沁みるような寒さも、ひとつの味わいとして、日本酒と共に自分の心も温めちゃって、毎日の酒ライフを楽しんじゃいましょう。

日本酒を温めると美味しいだけじゃない理由。

日本酒を温めると何が良いのか。目には見えない部分ですので、疑問に思いますよね。

味の変化としては一般的には、香りが豊かに広がり、アミノ酸(旨味)成分が変化して、より味わいがふくらみ、乳酸(酸味)成分も変化して旨味成分へと変わる。また、熱を加える事によりまろやかになり、より辛口に変化するといわれています。

同じ日本酒が、冷酒とはまた別の表情を見せてくれる。ギャップ萌えということでしょうか。1本で、温度帯を変えて飲み比べてみれば、変化を楽しめる=個性を感じることが出来るんですね。

湯煎しながらひとり遊びもできるし、何人かであーだこーだ言いながら楽しむこともできる。考えただけで、ワクワクしちゃいます。

温めると身体にもやさしい理由。

そして、温める事により体温に近い温度となり、アルコールが吸収されやすくなります。吸収が早いため、アルコールの分解も早くなり、その分、酔うのも早くなる。

つまり、適量に押さえて飲むことで、身体への負担も抑えることができ、「明日の分が残ってる♪」と経済効果も高くなるといえるかもしれません。

温もりを感じる瞬間。

また、身体を温めてくれることで、血流が良くなり、冷え性や肩こりにも良いとされています。

確かに、私は日本酒以外のアルコールを飲み続けると2、3軒目あたりで、急に身体がガクガク、ブルブル震え出し、寒くなってしまうのです。よくありました〜。

アルコールは基本的に陰性なんです。

それは、アルコール自体が陰性といって身体を冷やす食物(飲料)だからです。もう、身をもって感じております。ただし、日本酒はアルコールの中でも、比較的、陰性の弱い方で身体を冷やしにくいそうなんです。

さらにそれを温めることで、より身体には優しくなるということが言えますね。味よし、身体によし、で良いことづくめですよね。

日本酒を温める前に知っておきたいこと。

酒は純米、燗ならなお良しー。

人に酒について聞かれれば、私はいつもそう話してきた。

春だろうが夏だろうが、私は純米酒に割り水をかけて、ぬる燗にして飲む。こうして飲めば口当たりが軟らかくなり、ふんわりとした旨味が広がり、酒に合う料理の幅もうんと広がる。燗酒は胃壁からの吸収が早く、心地よく酔っていくから、飲みすぎることもない。

出典:「純米酒を極める」著上原 浩

日本酒への愛を感じる言葉です。ここに、割り水をかけて・・・とありますが、これは「割り水燗」といって、日本酒を少量の水で割って燗付けすると、やさしい口当たりになります。

さらには、少し疲れている時や日本酒を重く感じてしまう時などに試すと、とても身体を労りながら飲むことが出来るというひとつの飲み方なのです。

日本酒はもともと原酒を加水して、アルコール濃度を調整し、私たちの手元に届いているものなので、水で割ったから酒を台無しにしている!ということではないのですね。

身体にやさしく呑む方法。

ただし、ポイントは純米酒を選ぶこと。醸造用アルコールを使っているお酒は、米と水で醸したアルコールと醸造アルコールが別物のため、割り水によって分離して感じられることがあるようです。

その点、熟成させた純米酒は割り水にも、燗にしても受け止めてくれる度量があり、美味しくいただけるんですね。

お燗にして美味しい日本酒は、燗上がりするといいます。ぜひ、自分の目で燗上がりの1本と巡り逢いたいですよね。

ほんのひと手間の大切さ。

そしてもう一つは、割り水を選ぶこと。その日本酒の蔵元の仕込み水が手に入れば、調和も取れて、この上なく気分も上がりますが、難しければ市販の天然水などを使います。

さらに最後のポイントは、徳利に先に水を入れ、その後に日本酒を注ぐこと。その方が、味が崩れにくいという上述上原浩さんの経験だそうです。

身体を労わる割り方がある。

目安は、アルコール度数15度の日本酒を一合(180ml)におちょこ1杯(30ml)のお水でアルコール度数が2%下がるとのこと。あとは、その日本酒の味わいとか、自分の体調とかで、自分の心と身体に色々聞きながら、お酒を足したり、お水を足したりして調整していく時間も楽しいものかもしれませんよね。

いろんな方法で燗を付ける楽しさ。

では、実際にどうやってお燗をつけたら良いのか。

私の好みは、お鍋にお湯を沸かして、火を止めた状態で、日本酒の入った徳利をちゃぽんとつけて、そのまま置きます。しばらくすると表面が少し上がってきますが、そのくらいがぬる燗から上燗くらいかなと感覚で見ています。

職人風ひとり遊びの方法。

最近は、ぬる燗が失敗も少なく、食事にもとても合うので、温度計を購入し、しっかりと測って、いずれは感覚で・・・と、お湯から上げるタイミングを研究中です。酒呑みの道は1日にしてならずじゃ。

湯煎はゆっくりと熱が入るので、一見すると手間がかかりそうですが、そんなことを手間とも思わないくらい美味しい燗付けをすることができます。

本やネットで学んだことを試すのもひとつ。

他にもお鍋に、直接ちろりを入れて、おでんや鍋料理を同時進行してしまうやり方もあります。これは、人数がいる時の楽しみ方でもありますよね。

多少、お酒がこぼれてもいい味出してくれそうだし、台所に立つ手間も省けますよね。

面倒くさがりな人のために・・・。

あと、私は湯煎派なのですが、レンジで温めることもできます。ただし、以前試した時は、温度調整が難しく、ムラができたり、つけ過ぎると味が壊れてしまうし、香りも飛ぶしで、あまり良い思い出がありません。もしかしたら、達人がやると上手くいくのかもしれません。

もし試したい方は、レンジで加熱した日本酒の入った徳利から、水ですすぎ加熱だけした空の徳利に移し替えると、温度ムラがなくなり、まろやかに飲むことが出来るそうです。

目玉のないオヤジをイメージする。

そして、ほんの少しだけ、自分だけで手軽に燗酒を味わいたい時には、大きめの器にお湯を張り、そこに直接おちょこを入れて温めるという方法です。

イメージとしては、湯呑に浸かった目玉のオヤジの代わりに、おちょこを入れておくという温め方です。おちょこが喋りかけてきそうですね。

時にはハメを外したい方へ・・・。

最後は、酒呑みのあこがれ「瓶燗」です。アウトドアで思い切りやってみたいです。どでかい鍋に瓶ごとガツンとぶち込んで、ゆらゆら温まるのを、途中経過も楽しみながら、1本味わい尽くす。

見たこともない日本酒の景色が見られそうで、いつかやってみたいと夢見ております。

まとめ。

女子がカウンターで燗をいただくなんて、オヤジみたいでちょっと恥ずかしいかもという時代もありましたよね。それに比べて、自由に、堂々と「ぬる燗ちょうだい」なんて言えてしまうこのご時世。なんて素敵。

この環境を有効に活用して、純粋に楽しまない手はないと思います。もちろん、家でもどこでも熱燗の楽しみ方は無限大です。

日本酒はどれを選ぼうかと迷われるかもしれませんが、燗酒専用なんてお酒も売っていますし、自分の勘で選んで、試してみるのが一番楽しいのではないでしょうか。自分の好みは自分だけのものです。

酒屋に行くとワクワクする、その時間も私は大好きです。

これからもいろんな日本酒に「きみは何度くらいが合うのかい?」と聞きながら、熱燗タイムを楽しんでいきたいですねぇ。

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