「日本酒の歴史」はじめました。と夏の冷やし中華のようにさらっと言えたら良いのですが‥。ひと言思います。書き切れない‥。
けれども、知れば知るほどの充実感も味わえる、何とも言えない時間となりました。間違っていたら、諸先輩方からのご指摘をお待ちしております。では、はじめますっ!
日本の文化はお酒の文化である理由。
そもそも日本酒の歴史は、およそ2000年と云われています。宇宙の中では、塵のような時間かも知れませんが、人としては果てしない時間の長さを感じますよね。
最初の日本の酒はワインであった。
縄文時代には、潰れた山ぶどうが土器の中で自然発酵したため、それが酒となっていたそうです!米の日本酒ではなく、ワインが最初の日本の酒だと云われています。受け継がれてきたのがワインではなく日本酒で、今では国の酒になっている。不思議な感覚ですよね。
紀元前500〜1000年頃に中国から稲作が伝来し、弥生時代には日本全土に広がっていったとされています。そこで、米による日本酒が造られ始めたようです。ワインをつくる果実よりも、米をつくる方が日本の風土に合っていたんですね。
身体ひとつでお酒が醸せた時代。
縄文、弥生時代は女性優位の社会であり、邪馬台国の女王・卑弥呼が巫女として存在していました。当時、祭り(神事)に重要なのが、神宝と同時に、神をもてなすための酒だったのです。日本酒の歴史を語る際、「口噛み酒」というワードをよく耳にしますよね。
文献に残っているんですね。
口噛み酒は、果実や米などを噛んで発酵させたお酒のことです。古事記の原文に「八醞折りの酒を醸む」という一節があります。難しそうな言葉に思わず眉をひそめてしまいますが‥。
国立研究開発法人・科学技術振興機構の資料によると、醞(シホ)は「物を汁にひたす度数」の意。であり、ヲリ(折り)は「をり返す」の意。そして、何とカミ(醸み)は「かもし」の古語。醸造するという意味なんですね。先ほどの一文は「幾度となく繰り返し醸成した強い酒」という表現になります。
口噛み酒の仕組みとは?
ではなぜ、口で噛むと酒になるのか?唾液中に含まれる分解酵素(アミラーゼ)が、今の酒造りにおける麹の役割をしているんですね。先人の知恵、恐るべし!
しかしながら、大量の酒を造るためには、ものすごい数の人を集合させるか、それはそれは貴重に扱うかの二択になりそうですよね。お口を動かし続ける労力も必要ですし、中にはうっかりゴクンっと飲み込んでしまう人もいるでしょう。当事者が叱られなかったことを、切に願います。
酒造りの相棒・麹の出番です。
そこで麹の出番になります!播磨国風土記(奈良時代)にも記述があるように、携帯食である蒸米が水に濡れ、カビてしまったため、そのカビを酒にしたと云うことです。カビが出来た→酒にしてみよう!という、その発想がすごいですよね。今では、感謝しかありません(涙)
併せて、朝鮮との交流の中で「コウジカビ」に馴染みがあったからとも云われています。ですので、カビが生えたから最初の酒造りが始まったわけではないようです。
様々なことに興味を持ち、学び、取り入れて生み出すという日本人の真面目さが垣間見えますね。
はて?日本酒はいつから透明なのか?
ここで気になるのが、あれ?お酒って昔から透明なのかしら?白いお酒を時代劇で見たような‥・
私たちのイメージは、透明な日本酒を真っ先に思い浮かべますよね。しかし、米と水と麹を醸せば、それはやはりにごっているだろうと想像がつきます。私も好きでいただきますが、江戸の初期まではお酒と言えば濁酒(どぶろく)だったのです。
とろみがあって、舌にまとわるような酒感や甘みが広がるので、夏場は特に大人のカルピスと豪語しながらいただいております。
お酒を濾す概念はもう少し先のようです。
出来上がったお酒は分離すると上澄み部分が清酒となり、白濁した部分が濁酒と分けられていました。今では美しく漉すことで、いわゆる日本酒と酒粕の両方を楽しめますよね。冬場の粕汁はほっこりと身体が温まります。
どぶろくとにごり酒の違いを知る。
ちなみにどぶろくと共に、にごり酒という呼び方があります。正直違いが分かっていなかったのですが、どぶろくは全く漉さずに醸されたそのままをいただきます。
一方、にごり酒は、荒目の布等で濾したものをいいます(酒税法上)。そのため、固形分を含んだ白色になります。しっかりとした濃さを味わいながらも、口当たりを軽快にされたい方はこちらをおすすめいたします。
儀式を支える御神酒の存在。
話は少し戻ります。卑弥呼の時代より神に捧げるため珍重されたお酒。御神酒(おみきorごしんしゅ)という言葉はよく聴きますよね。神社や天皇にまつわる宮中儀式にも欠かせない存在でした。なぜなら、お米自体が神からもたらされ、神の霊が宿っていると考えられていたからです。
御神酒の秘密を探る。
神から授かる有難いお米を、丁寧に心を込めてお酒にしていく。人の手を介した最高のお供え物とされていたのです。この時代の御神酒は、白黒醴清という4種のお酒をお捧げしています。
白酒=どぶろく、黒酒=どぶろくに植物の灰を入れる、醴=甘酒(一夜酒)、清酒=濁酒を濾過する。この4種が正式な形のようですが、今では皇室や伊勢神宮などの限られた場所だけで行われているとのこと。これからは歴史を重んじて、利き酒3種を居酒屋でいただきたいと思います(全く関係ありません笑)。
神様からのお裾分けをいただく風習。
神に捧げる酒造りは、さらに発展しひとつの文化を生み出していきます。捧げ奉ったお酒を、ご相伴に預かる直会と呼ばれる儀式です。盃一杯、肴一品を3回繰り返す式三献というお作法に則り、神様のお力が宿ったお酒・肴をいただきます。
神様の「おかげ」、つまり恩恵を分けていただくことから、「おかげさまで」の温かい意味合いが込められていくのです。
日本人としておかげさまの意味を知る。
伊勢神宮へ参拝に行くと、はずせない場所としておかげ横丁がありますよね。江戸時代、神様に対する恩恵や、地元の民が温かく迎えてくれたことへの感謝の気持ちから、お伊勢参りが「おかげ参り」と云われる由縁となりました。なんだか、気持ちを込めて「おかげさまで」と、日々の生活に使いたくなってしまいます。
ちなみに、会社の行事や講演会など、真面目な話の後に酒や軽食で談話する。という二部構成の展開は直会から来ているのでしょうか?あくまで推測です。
しかしながら、直会の時間は礼講の最中とされ、最後まで気を引き締めてお酒を頂く場面となります。新入社員の方々は、ぜひお気を付けくださいませ。
まとめ
いつも思うのですが、山葡萄の自然発酵も、蒸米に生えたカビで酒を造るのも、そしてフグの卵巣を食べるのも、必ず最初の人がいたはずなんです。すごいチャレンジャーだなって感心するんですよね。間違えれば命を落とすこともあるでしょうに‥。
勇気と行動力のある肝の座った方達がいたからこそ、私たちの幸せな食卓があるのです。作物や生き物の命をいただく感謝と併せて、古人の生き様に敬意を表したいと思います!
そんな風な気持ちで日本酒をいただく時は、月の綺麗な日かも知れませんね。(たまたま満月だったので‥書いた日はね。)
上巻の二に続きます。↓
参考:奈良県菩提元による清酒製造研究会(菩提研)/国税庁/ 独立行政法人酒類総合研究所/株式会社サタケ「酒造りと酒造精米の歴史」/滋賀大学経済学部/エネルギー・文化研究所(大阪ガスネットワーク)/J-Stage/大浦春堂「神様が宿る御神酒」/加藤百一「日本の酒5000年」
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